お知らせ
2015年6月22日、ローマ・カトリック教会の教皇フランチェスコ Papa Francesco がトリノのヴァルド派教会を訪問し、これまでヴァルド派に対してカトリック教会が行ってきた非人間的・非キリスト教徒的ふるまいについて、公式に謝罪しました。
Papa Francesco : "Da parte della Chiesa Cattolica vi chiedo perdono"
http://riforma.it/it/articolo/2015/06/22/papa-francesco-da-parte-della-chiesa-cattolica-vi-chiedo-perdono
以下、イタリア福音協会連合のニュースサイトから、教皇フランチェスコの言葉を引用します(Cf. http://www.nev.it/archivio/NEV_7770001891.html)
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"Da parte della Chiesa Cattolica vi chiedo perdono per gli atteggiamenti e i comportamenti non cristiani, persino non umani che, nella storia, abbiamo avuto contro di voi. In nome del Signore Gesù Cristo, perdonateci!"
「カトリック教会を代表し、これまでの歴史において、私たちがあなたがたに対して行った非キリスト教的または非人間的態度や行動に対して、お詫び申し上げます。主イエス・キリストの名において、私たちをお許し下さい!」(訳:有田豊)
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フランチェスコは、カトリックにおける歴代教皇の中でも、ヴァルド派の教会を訪問した初めての人物だそうです。しかも、ヴァチカン市国に近いローマのヴァルド派教会ではなく、わざわざヴァルド派の谷に近いトリノのヴァルド派教会(ヴァルド派が「谷」以外の場所に初めて建造した記念碑的教会)を訪問するあたり、教皇の本気度、イベントの公式性が見てとれます。教皇の訪問に対して、現在ヴァルド派教会の議長を務めるエウジェニオ・ ベルナルディーニ牧師 Pastore Eugenio Bernardini は「私たちの教会が異端のかどで咎められ、ローマ教会から破門された8世紀前に築かれた壁を、あなたは乗り越えられました」"Ha varcato un muro alzato otto secoli fa, quando la nostra chiesa fu accusata di eresia e scomunicata dalla Chiesa romana" との言葉で歓迎、両者笑顔で握手と抱擁を交わしました。2つの教会の間に800年間存在していた垣根が取り除かれた歴史的瞬間です。
エキュメニカル運動(教会一致運動)の観点から見ても、このカトリック教会の公式謝罪は大きな意味を持つと思われます。カトリック教会が、かつて異端者として自らが断罪した集団を一つの宗派として認め、「謝罪」の形で譲歩したことは、これからのカトリック教会とプロテスタントの友好関係を大きく促進させるきっかけの一つになるでしょう。そして、カトリック教会の本拠地ともいえるイタリア国内におけるプロテスタントの中では最も歴史が古く、なおかつ最大規模の勢力を持つヴァルド派は、今後「カトリック教会とプロテスタントの架け橋」という重要な役割を担う存在となっていくに違いありません。そんな意味でも目の離せないヴァルド派。ちょっと大げさかもしれませんが、彼らを研究することは、世界のキリスト教の情勢を把握することにも繋がっていくのです。
(2015年6月22日)